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Loren Stillman Quartet / How Sweet it is

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Loren Stillman (as)
Russ Lossing (p)
Scott Lee (b)
Jeff Hirshfield (ds)

Rec. May 15, 2001, at Acoustic Sound, NY
Engineer: Michael Brorby (Nagel Heyer 2031)

浮遊する虚脱した奇妙なアルト

 ふわふわした浮遊感に乗り、奇妙でこっけいなメロディが続く。要所でラス・ローシングがド速いパッセージの超絶ピアノソロを見舞う。またあるときは曲の途中でテンポが失なわれ、フリー・インプロヴィゼーション寸前へ行く。トンガリ感満点、アルト奏者ローレン・スティルマンの初期傑作である。

 クールに醒めた吹きぶりはリー・コニッツを思わせる。だが反面、調子っぱずれでユーモラスなところはオーネット・コールマン~ジョー・ロヴァーノ系でもある。温かみをまったく感じさせない音色や、エネルギー感のない虚脱したプレイスタイルがいかにもNYコンテンポラリー的だ。

 全8曲すべてオリジナル。M-1とM-2の味のある妙なテーマは惹きが強い。本作のベストトラックだろう。一方、M-5は非常に美しいバラードであり、メロディメーカーとしての才能も見せつける。最近のプレイヤーに顕著な傾向だが、演奏者としてだけでなく作曲もこなすオリジナル志向を強く感じさせる。「オレの世界を聴いてくれ」ってなノリである。

 アルバム全編に漂う浮遊感を演出するのはリズム隊だ。特にスコット・リーのベースが利いている。そこにひょうひょうと泳ぐスティルマンのファニーなアルトが乗り、バンド全体でゆらゆら揺れる不安感を醸し出す。リズム隊がそうしたスティルマンの狙いを完全に理解し、ぴったり意思統一している感じだ。

 この2年後にFSNTから出た 「It Could Be Anything」 (2005年、レヴュー記事はこちら)とくらべ、いい意味で完成されてない危うさ、脆さ、破天荒な勢いが強烈な魅力を放つ。どちらも秀作だが、生々しい剥き出しのスリルを味わいたいなら本盤かもしれない。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

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