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Loren Stillman / Winter Fruits

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Loren Stillman (as)
Nate Radley (g)
Gary Versace (org)
Ted Poor (ds)

Rec. June 4-5, 2008, at Bennett Studios, NJ
Engineer: Jason Seizer (Pirouet Records PIT3042)

空間の創造者、スティルマンのアルトが静寂を演奏する

 ローレン・スティルマンは静寂を演奏する若手サックス奏者だ。10枚目の最新リーダー作に当たる本盤でもそれは同じである。間を生かして必要以上に音を刻まず、粛然とした何もない空間を作り出す。いわば空間の創造者である。

 本作はギター入りのオルガン・トリオにサックスを加えた編成だが、オルガン・ベースの音圧が (意図してかどうか) かなり低い。つまり低音部を埋めず余白を残す音作りをしており、たっぷりとしたスペース・メイキングがますます生きている (まるでベースレスのようだ)。

 そのためスティルマンならではの奇妙な味のあるテーマやキメが、従来作以上に何もない空間にぽっかり浮かび上がる仕掛けになっている。このアレンジ手法がアルバム全編にちょっとシュールな雰囲気を漂わせている。

 メンバーは別プロジェクトのグループ 「Bad Touch」 の顔ぶれと同じだ。ゲイリー・ヴァセイシ (org) 、ネイト・ラドリー (g)、テッド・プア (ds) といういつもの面々が共演した。

 メンバーのプアによる2曲に加え、スティルマンのオリジナル6曲の合計8曲。サウンド面では、中高音部を受け持つヴァセイシのオルガンとラドリーのツボを押さえたバッキングが重要な役割を担う。

 スティルマンが作ったスペースにヴァセイシとラドリーが代わる代わる顔を出し、印象的なフレージングとコードワークでアルバムに 「顔」 をつけて行く。2人の音使いはスティルマン同様アンダーグランドな色があり、この味付けがアルバムカラーを完全に決定付けている。ただし本作はNYの若手によくある暗くダークな音でなく、むしろクールに突き抜けた奇妙な明るさが印象的だ。

 一方、彼らを支えるプアのドラムは太くどっしりした安定感がある。ややため気味の重いプレイが特徴の彼のドラミングには壮大なスケール感があり、ニューヨークの若手の中でははっきりトップクラスである。

 それにしても、この変てこなメロディーを生み出すスティルマンのセンスにはまったく脱帽だ。 「技術」 は人の心を動かす道具のひとつだが、彼が発散する奇態な 「感性」 も技術に劣らず重要なツールとして機能する。後天的なトレーニングでは身に付けられないサムシングを、スティルマンが持っているのは明らかだ。

【関連記事】

『Loren Stillman Quartet / How Sweet it is』

『Loren Stillman / It Could Be Anything』
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Comment

No title

松岡さん こんにちは

このアルバム、出会った当初は、ピンっとこないところも
あったんですが、繰り返すうちに、今ではお気に入りに
なってます。そんなところにもStillmanの音楽の質みたいな
ものが表れているようにも感じてます。
Stillmanには、高い能力を感じてますが、こういう地味なタイプは、
受けが悪いのか、他サイトでは、ほとんど見かけることもない
という状況は残念なところですね。

さすが、うまく書いてますねぇ、丸め込まれてしまいそうです(笑)。

J worksさん、こんにちは。

>出会った当初は、ピンっとこないところもあったんですが、

あれっ、そうなんですか。私はけっこう初聴きからビンときましたね。
確かに本作は他のスティルマン作品とくらべ、奇妙に明るいところがあるので
そのへんでしょうかね、最初から響かなかったのは。

>他サイトでは、ほとんど見かけることもない~

まあクリス・ポッターみたいにまっすぐエネルギッシュで躍動的なプレイヤーは
わかりやすいので人気出やすいでしょうね。
それに対してスティルマンは「好きな人しか好きでない」タイプなので。

たとえば益子博之氏がスティルマンを称し、
「カン高い神経質な音を立てるだけ」みたいに書いているのを読み、
ああ、ちっともわかってないんだなぁ、と思いましたもん。だってそこがいいのに(笑)

>さすが、うまく書いてますねぇ、丸め込まれてしまいそうです(笑)。

いやいや(笑)
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松岡美樹

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予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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