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Euan Burton / Occurrences

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Will Vinson (as, ss)
Steve Hamilton (p, Rhodes)
Mark McKnight (g)
Euan Burton (b)
James Maddren (ds)

Rec. June 2010, at Castle Sound Studios, Pencaitland
Engineer: Stuart Hamilton (Whirlwind Recordings WR4621)

ウィル・ヴィンソン参加、スコットランドの澄み渡る空のように

 音楽は国や地域の文化に深く根ざしている。同じジャズと名のつく音楽を演っても、その国の国民性やライフスタイルがはっきり出る。絶対同じ音にはならない。それがよくわかるのが本作である。スコットランド人ベーシスト、イアン・バートンが2012年にリリースしたばかりの最新作だ。

 まずニューヨークで活動しているイギリス人アルト奏者、ウィル・ヴィンソンの参加が目を引く。作風は涼やかな端麗甘口。クールで抑制的なヴィンソンのスタイルがうまくハマっている。M-1の爽快なバラードなんざアメリカ人にゃマネできないっしょー、みたいな感じだ。(いや本人がそう申しておるわけではございません)

 本盤に参加しているアイルランドのギタリスト、マーク・マクナイトとヴィンソンは共に主役のバートンと共演歴があり、それが縁で今回の顔合わせが実現したようだ。

 バートンはイギリスのバーミンガム芸術学院で学んだ後、スコットランドに帰国し活動している。デイヴ・ホランドやエド・ハワードに師事、スコットランドの国立ジャズ管弦楽団での演奏歴もある。2006年に初リーダー作 「Collective」 でデビューし、その後アリ・ホーニグとギラッド・ヘクセルマンをフィーチャーした 「Forgotten Things」 (2010) もリリースしている。

 さて本作はフュージョン的なM-2やM-6を交えつつ、5月の晴れ渡る空のようにスカッとさわやかに進行する。ニューヨークの若手あたりの鬱屈したダークな音とはまるで対照的だ。特に屈託のない美メロなバラードのM-3やM-5などは、ブルックリンの連中なら逆さに振っても出てこないだろう。

 客演するヴィンソンも最新リーダー作 「Stockholm Syndrome」 (2010年。レヴュー記事はこちら) ではNYCっぽい屈折した音を聴かせていたが、本作ではすっかり健やか系を地で行っている。実はヴィンソンも本領はこっち系統なのかもしれない。また往年のラリー・カールトンみたいなギターを弾くマクナイトはなかなかのテクニシャンであり、パワフルなドラマー、James Maddrenはエッジの利いた明快なプレイが印象的だった。

 もうひとつ興味深かったのは、M-4のようなノりのいい楽曲を演奏しても、バンドの音がアメリカ人みたいに脂っこくならないことだ。さっぱりしていて、いかにもスコティッシュな感じである。アメリカの黒人プレイヤーみたいにリズムが粘らず、淡々と流れて行く。このへんは好みの問題だが、泥臭くホットなジャズが好みの人にはおすすめしない。

 最後にいまさらな注文をつければ、曲名がいただけない。アルバム冒頭から順に 「One」、「Two」、「Three」 などと機械的なタイトルをつけているが、明らかに損である。いかにも無味乾燥で感動のない内容のアルバムであるかのように誤解されてしまう。なぜこんなタイトルをつけたのかまったく謎だが、制作にかかわったプロデューサーとかディレクターあたりは何も言わなかったのだろうか。不思議である。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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